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娘の助かりを願い続け【金光新聞】

神様の救いの導き

 今から15年前、看護師を目指して、県外の看護大学に通っていた娘の清美(21)が、「太ってるね」という何げない友人の一言から、ダイエットを始めました。 カロリー計算した食事と運動に取り組み、みるみる痩せていきましたが、夏休みに帰ってきた時には、肋骨が浮き出るほどに痩せ細っていたのです。驚いた私たち家族は、ダイエットをすぐやめるように言いましたが、「まだウエストが太いから」と言って聞きません。拒食症の心配もあり、病院に行くよう勧めましたが、「自己管理はできている」と言い張ります。私は、これ以上痩せないよう神様にお願いしました。
 しかし、食べると太るという強迫観念に支配されてしまった清美は、体力も気力も弱り、大学の授業も休みがちになりました。そして、ある日突然、拒食から過食に転じたのです。いくら食べても満足感が得られず、食べることを抑えられません。食べた後は、太ることへの恐怖と、食べてしまった罪悪感から吐き、その結果、体がしんどくなって休む。そんな日々が続き、清美は「私は駄目な人間。私は生きている価値がない」と口にするようになりました。私は、娘が心配でたまりませんでしたが、娘の心の扉は固く閉ざされたままです。私はただ、ひたすら神様にお願いするしかありませんでした。

 すると、12月のある夜、「お母さん助けて」と泣きながら電話をかけてきたのです。すぐに教会にお届けして、最終バスに飛び乗り、娘の元に急ぎました。清美はベッドの上で泣いていました。私は清美を抱き締め、そのまま朝まで一緒に過ごしました。清美は「過食する自分が怖くて、寂しくて、電話した」と言ってくれました。体には、リストカットの痕もあり、神様がぎりぎりのところで導いてくださったのだと思いました。
 すぐに連れて帰って、心療内科を受診しました。摂食障害と診断され、投薬とカウンセリングを始めましたが、私も先の見通しが立たない不安に押しつぶされそうでした。そこで、看護学校で教師をしていた私の姉に相談すると、「家族が愛情を持って接することが大事。長くかかっても諦めないで」と言ってくれました。私たち家族は、「どんなあなたでも、清美のことが大好きだから」と言い続け、毎日神様にお願いしながら見守り続けました。

祈りのちから

 春休みになり、次第に症状は改善していきましたが、まだ不安があるため、大学を休学することにしました。その手続きのため、清美と大学に行くと、清美は「みんなにお別れしてくる」と言って、教室に入っていきました。すると、友人たちが、励ましの言葉や思い出の写真などをちりばめた寄せ書きをプレゼントしてくれ、「一緒に卒業しよう」と言ってくれたのです。
 清美はまだ不安を抱え、摂食障害と闘っていましたが、応援してくれる友人たちの一言に勇気が湧いたのでしょう。面談の場で、「みんなと一緒に卒業したい」と言ったのです。私は驚き、胸がいっぱいになりました。

 その後、 家族や友人に支えられながら、清美は、無事に卒業し、地元の病院に就職できました。現在は過食も治まり、結婚し2人の子どもに恵まれ、家族で教会に参拝しています。私は、娘のことを通して、神様に願い続けることの大切さを分からせて頂きました。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

(「心に届く信心真話」2018年2月18日号掲載)
メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2019/05/23 11:32:18.009 GMT+9



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