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教会に参拝してほしい 【金光新聞】

電話でお取次

 2年前、私(当時50)の奉仕する教会に、一本の電話がかかってきました。それは遠方に住む実さんという全盲の青年(当時25)からで、自分の身の上について悩みを抱えているようでした。インターネットで金光教のことを初めて知り、たまたま私の所へ電話をしたそうで、「おかげを受けるにはどうすればよいのかを教えてほしい」と、毎日かけてくるようになりました。
 次第に「現在、作業所へ通っているが、最近体調が優れず、もし作業中に具合が悪くなったらと思うと、不安で行けない」と胸の内を話してくれました。
 私は実さんの不安を聞きながら、彼が元気に作業所へ通えるようにと、神様にお願いしました。
 また、実さんは毎朝決まった時間に起きるのが苦手だと話していたのですが、ある朝、「今日から早く起きる練習を始めた」と報告がありました。そして、数日後には作業所に行けるようになったのです。

 その後も、時折不安で眠れなかったり、作業所で具合が悪くなったりすることもありましたが、実さんは電話でお取次を頂き、神様にお願いしながら、休み休みでも作業所に通えるようになりました。 ところが、1カ月ほどすると、「いつも親切にサポートしてくれた職員が他の作業所に移り、苦手な職員が私を担当することになった。今後のことがすごく不安だ」と言ってきたのです。
 私は「神様にお願いさせてもらうから大丈夫。今できていることに心を向けて、お世話になっているいろんなことへのお礼の気持ちを持って生活させてもらったら、必ずおかげが頂けるから」と話しました。しかし、実さんは次の日から作業所に行けなくなってしまいました。

神様をつえにして

 私は「やっと通えるようになったのに…」と、残念に思うとともに、電話でのやりとりだけでは神様につながることは難しいと強く感じました。そして実さんに、自宅近くの教会へ参拝してお取次を頂くよう何度も勧めました。実さんは「すぐにでも参拝したい」と返答はするものの、踏ん切りが付きません。その後も電話で励ましながら、実さんが教会へ参拝できるよう、願い続けました。
 そうしたやりとりが続く中、徐々に作業所へ通えるようになり、どうにか人間関係も都合を付けて無事に1日を過ごせるようになりました。また、指先の感覚が繊細だという長所が認められ、任せてもらえる仕事も増えて電話の向こうから再び明るい声が聞こえるようになりました。
 
 1年後のある朝、突然実さんから「今日、近くの教会へお参りしようと思う」と連絡があり、私はとても驚きました。
 そして、 夕方再び電話があり、「教会の先生が長時間かけて私の話を聞いてくれ、『神をつえにつけばよい。神は、曲がりも折れも死にもなさらない』というみ教えを聞かせてくださった。私はこのみ教えのことは知っていたが、教会で直接先生から聞かせて頂き、心に響いた。教会にお参りして本当に良かった」と、とても明るい声で話してくれたのです。
 教会参拝で神様を実感し、不安から解放されたからなのか、実さんはそれ以来、私の所に電話をかけてくることはなくなりました。私は、実さんがこの先も教会に参拝し、神様をつえにして人生を歩んでいけるよう祈り続けています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2018年4月15日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2019/06/25 11:04:24.436 GMT+9



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