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願い続けて盛大な霊祭【金光新聞】

大切な霊祭をみんなで迎えたい

 初江さんは今年88歳を迎えます。年齢とともに足腰も弱り無理が利かなくなる中、生活の一つ一つにお繰り合わせを頂けるよう、神様にお願いしながら日々を暮らしています。
 初江さんは15年前に夫を亡くしましたが、日常のあちこちでみたま様の働きを感じています。探し物がなかなか見つからない時、夫のみたま様にお願いすると、ひょんな所から出てきたり、道でつまずいて転んだ時、体がふわりと浮く感じがして、けがなく済み、夫が守ってくれたと心からありがたく思ったこともありました。
 そんなこともあり、初江さんは夫の霊祭を大切にしています。夫は生前、子や孫とにぎやかに過ごすのが大好きだったので、霊祭も家族、親類を迎えて、教会の先生に仕えてもらっています。しかし、初江さんは最近、体力的にも皆のお世話をするのが難しくなってきて、盛大なお祭りは今年の15年祭を最後にしようと思いました。そこで、いつもは声を掛けない親戚にも来てもらいたいと願いを立て、1年前から準備を始めました。

 教会まではバスで1時間半ほどかかりますが、参拝するたびにお結界で15年祭が無事に仕えられるよう、ご都合お繰り合わせをお願いしていました。家でも祭ってある神様、みたま様に、毎日手を合わせてお願いしました。
 初江さんには頼りにするおいの新造さんがいます。新造さんのきょうだい5人とその家族にも来てもらおうと思っていたところ、新造さんが「実は弟の伸次が重病で入院中です。今は小康状態ですが、いつどうなることか…。きょうだい皆が交代で看病しています」と言うのです。初江さんは、すぐにお見舞いに行きました。伸次さんは「来てくれてうれしい。ありがとう」と迎えてくれ、穏やかに会話できました。
 一安心した初江さんですが、このような状況で新造さんたちには無理を言えず、願っていた親族皆そろっての霊祭はかなわないと寂しく思いました。そんな時、遠方に住む新婚の孫娘から、あいさつを兼ねて夫婦で出席したいとのうれしい知らせが届き、初江さんは明るさを取り戻しました。

霊祭準備の一方で

 このように初江さんが準備を進めていた一方で、子どもと孫たちは親戚が一同に会する霊祭後に、初江さんの米寿祝いをしようとこっそり計画しました。サプライズプレゼントに凝った似顔絵を準備し、初江さんが行きたがっていたカラオケ店に皆で行くことにしました。
 その後、しばらくして伸次さんが亡くなったと連絡がありました。初江さんは悲しみを抱えつつ、夫のみたま様に「伸次さんのことをお願いします」と日々ご祈念しました。そうして霊祭を間近に控えた日、新造さんから電話があり、「きょうだい皆で15年祭にお参りします」と言ってくれました。初江さんがずっと願い続けてきた思いが報われたのです。

 そうして15年祭当日、親族が全員集まり、厳かに霊祭が仕えられ、食事会も和やかな雰囲気で会話も弾みました。その後、初江さんは孫たちに誘われるまま、カラオケ店に行き、皆から米寿のお祝いの言葉とプレゼントをもらい、新婚の孫娘からは妊娠の報告を受けるなど、楽しく笑顔が絶えないひとときを過ごしました。
 願い以上のおかげを頂いたと感じた初江さんは、夫もきっと喜んでくれていると胸がいっぱいになり、神様にお礼を申し上げました。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2018年4月22日号掲載

メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2019/06/28 09:00:15.335 GMT+9



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