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痛みの中で神様の働き【金光新聞】

リハビリを通して

 昨夏、私(71)がはしごに登って庭木の剪定(せんてい)をしていた時のことです。
 どこからともなくブーンブーンと2、3匹のスズメバチがやって来ました。「うわっ」と驚いた私は、必死で頭を振りました。すると、よけた反動で体勢を崩し、2㍍もの高さから地面へと落ちてしまったのです。
 すぐに病院で診てもらうと、右大腿(だいたい)骨骨折と右手首複雑骨折と診断され、人工股関節を入れる手術を受けることになりました。
 手術は成功し、リハビリ生活が始まりました。初めの頃は車椅子での生活に、慣れないやら不自由やらで「なんだか10歳くらい年を取った気分だなあ…」と、かなり落ち込みました。薬嫌いだった私は「鎮痛剤は飲まない」と決めていましたので、激痛に耐えながらのリハビリは、本当につらいものでした。
 
 しかし、日がたつにつれて、ふと気が付いたことがありました。それは、あれだけ耐えられないと思っていた痛みが、いつの間にか和らぎ、少しずつ歩けるおかげを頂いてきたことでした。私が「痛みがある」「不自由だな」という思いばかりにとらわれていた間も、神様は私の体を治そう、治そうと日々お働きくださっていたのです。
 そう思うと、私の心は痛みや不自由を忘れ、神様のお働きに対して「うれしい」「ありがたい」という気持ちでいっぱいになり、毎日のリハビリを楽しく頑張れるようになっていきました。
 さらに、リハビリの先生から「自分で意識して正しい歩き方をしないと筋肉の付き方が不自然になって、後々正常な歩行ができなくなりますよ」とアドバイスを頂いたことで、より真剣に取り組めるようになりました。
 順調に回復し、退院のめども付きそうになった頃、病院で偶然、知人が昔お世話になっていたケアマネジャー(介護支援専門員)さんに会いました。その方は私に「よいリハビリ施設があるから退院に備えて早めに申し込んでおくといいですよ」と教えてくれました。
 私は「リハビリも、この出会いも、神様が私の助かりを願って、先の先まで道を用意してくださっているんだ」と思え、ありがたい気持ちになりました。

私の経験がお役に立つ

 退院して数日後、私のけがを心配して町内の人が訪ねてきてくれました。その方は過去に私と同じ手術を受けたことがあるそうで、「術後から、足の長さが左右で違う気がする…」と、悩んでいるとのことでした。
 そこで私は「リハビリで教えてもらったんですが、腰の位置が正しくないか、片方の足に重心が掛かっているからかもしれませんよ。それに、手術をした足は筋肉が落ちていて、違和感を感じやすいそうです」と、教えてもらった運動の仕方を伝えました。すると、その方は非常に安心され、明るい表情で帰っていきました。私はその姿を見て「大変なけがだったけれど、この経験が人のお役に立ってよかった」と、再びありがたい気持ちになりました。

 今回の出来事は、若い頃、教会の先生から頂いた「物事は表に出てくる人や物が中心ではないと分かっていても、案外、表面的なことにとらわれてしまう。そこを間違ってはいけない」との教えを、改めて実感する体験となりました。
 目に見えることや起きてきた事柄に惑わされず、神様に真っすぐと心を向けて生きていきたいと願う、今日この頃です。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2019年7月7日号掲載
メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2020/08/15 05:51:08.506 GMT+9



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