title.jpg

HOME › お取次に背中を押され【金光新聞】

お取次に背中を押され【金光新聞】

卒業できないかもしれない

 僕(21)には子どもの頃から苦手なことがたくさんあります。母はそんな僕に「信心しておかげを頂いていってほしい」と願いを掛けてくれていました。
 そんな僕にとって、決して忘れられない出来事があります。それは高校3年生の冬休み前に行われた、3者面談です。
 面談では、担任の先生から「不合格点が予想以上に多く、卒業に必要な単位が取れない」と告げられました。同席してくれた父も僕もショックを受け、何も言えなくなってしまいました。
 家に帰り、母に報告すると「教会にお参りして先生にお願いしてみたら」と言われ、父と二人で、教会の先生に事の次第を聞いて頂きました。
 先生は「それで凛太朗君はどうしたいの?」と聞かれるので、「卒業したい」と答えると、「それがはっきりしているなら大丈夫。今まで真面目に通学し、不得意でも一生懸命勉強していたことは、担任の先生もよく知っています。神様にお願いして、しっかり勉強し、3学期の期末テストを受けてみなさい。必ずおかげを頂けます」と話してくださいました。

 そして、3学期の期末テストに臨みましたが、不合格点が2科目ありました。「やっぱり卒業できないのか」と落ち込み、教会に参拝すると、先生は「大丈夫。明日、担任の先生に『どうしたら卒業できますか?頑張りますから教えてください』と、お願いしてみなさい。もう一度、自分の意欲をしっかりと伝えてみよう」と言ってくださいました。先生は話すことが苦手な僕のことを分かってくださった上で、背中を押してくださいました。
 翌日、僕は勇気を出して、担任の先生に気持ちを伝えることができ、追試験を受けられるようになりました。そして、何とか卒業することができたのです。実は、僕が通う高校は、僕たちの学年の卒業を機に閉校になりました。つまり、留年すると行き場がなかったのです。そんな僕のために、担任の先生も教会の先生も、卒業ということを通して、自立した人間に成長するよう願ってくれたのだと思います。

僕の長所は根気強さ

 その後、専門学校を卒業し、旋盤作業を行う会社に仮入社しました。この仕事は精密な作業が多く、集中力と根気が必要です。でも、人と関わるより、物に向かう方が性に合うので、この仕事が向いていると感じていました。
 ところが、先輩から指導を受けても、なかなか上達しません。3カ月間の研修が終わる半月前、部長から「研修が終わるまでに、仕事を続けるか考えておいてほしい」と言われました。本採用されるか不安だったので、教会でお取次を頂くと、先生は「高校卒業時と同じように、自分が何をしたいのか、はっきりと意思表示できれば、相手に伝わりますよ」と励ましてくださいました。そこで、根気強さという自分の長所を信じて、一層仕事に励みました。すると後日、部長から「やる気があるならいい。頑張れ」と励ましの言葉をもらい、無事に採用されました。

 会社に入って半年がたつ頃、やっと製品の製造を任されるようになりました。教会の先生は僕の顔を見て、「仕事をする人の顔つきになってきたね。今は新入社員だけど、来年からは後輩もできる。良き先輩として認められるように頑張ろう」と励ましてくださいました。
 僕は今、人生を自分の足で歩んでいく稽古をさせて頂いています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2019年9月1日号掲載)
メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2020/09/11 11:45:51.975 GMT+9



このページの先頭へ