title.jpg

HOME › 祈りの中で助かった命【金光新聞】

祈りの中で助かった命【金光新聞】

一刻も早く手術する必要がある

 10年ほど前のことです。外出先から教会に戻った私は、いつものように夕食を頂くため、食卓に向かいました。
 すると、長男の健太(当時小学2年生)の姿がありません。妻に理由を聞くと、「今日友達の家から帰る途中、川に落ちたみたいで、泣きながらずぶぬれで帰ってきたの。今は疲れて部屋で寝てるのよ」とのことでした。「私も小さい頃、似たような経験があったなあ」と、その時は大して心配もしていませんでした。
 ところがその夜、妻が慌てた様子で来て、「健太が『頭が痛い』と言って泣いているの。心配だから救急病院に連れていこうと思う」と言うのです。あまりにも急なことで、「少し様子を見た方が良いのでは」とも思ったのですが、両親も「すぐに行った方がいい」と言うので、病院へ連れていきました。

 私は、健太を診察している医師の険しい表情を見て、ようやく事の重大さに気付きました。「右側頭部が陥没骨折しており、一刻も早く手術をする必要がある」とのことで、大学病院に移って手術を受けることになりました。
 急きょ、入院することになったため、私はその準備をしに一度教会へ戻りました。両親に事情を説明すると、父は「私たちがご祈念させて頂くから、何も心配しなくていい。すぐに行ってやってくれ」と落ち着いた表情で言ってくれました。その言葉のおかげで動揺していた心が収まり、我に返ることができました。

『…よろしくお願いします!』

 入院に必要な物を用意して病院に着くとすぐに健太の手術が始まりました。そして、3時間たった午前3時ごろ、手術は無事に終わり、1週間ほど入院することになりました。医師の説明では、「早く処置ができて良かった。丸一日放置していたら危なかった」とのことでした。私たち夫婦は、夜中に健太が痛みを訴えてくれて良かった、そして、ためらわずすぐに病院に連れていって良かったと胸をなで下ろしました。
 後で話を聞くと、健太が落ちた川は高さ1㍍50㌢ほどのコンクリートの側溝で、わずかな水がちょろちょろと流れるような場所でした。自力では登れず泣いているところを、通り掛かった女性が助けてくれたそうです。
 また、手術をすぐに始められたのは、ちょうどその日の当直医が脳外科の医師で、健太が運び込まれた時には、準備を万全に整えてくださっていたのだそうです。本当に多くのお繰り合わせを頂いていたことが後になって分かりました。

 手術が終わって一段落した後、私たち夫婦が教会に戻り、両親に病院での出来事を報告しました。すると父が、「健太が遊びに行く時、お広前で神様に手を合わせて、お結界にいる私に『今から友達の家に行ってきます!よろしくお願いします!』とお届けして出掛けたんだ。私も健太が無事に帰ってくるよう真剣にご祈念していたが、それでも事故に遭って…。自分の祈りが足りなかったと悔やんでいたが、やっぱりお願いしただけのことはあったんだな」としみじみと話してくれました。
 振り返ってみると、健太が神様にお願いし、お取次を頂き、その願いを父が真剣に祈ってくれた中で頂いたおかげだったのだと思います。
 健太は現在、けがの後遺症もなく元気に大学に通っています。健太には、この時の体験を忘れることなく、ここからの人生を神様と共に歩んでほしいと願っています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2019年10月6日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2020/11/13 09:32:01.994 GMT+9



このページの先頭へ