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孫の病を信心で考える【金光新聞】

信心で考えたらどうなるかな

 和子さん(82)には遠く離れて暮らす息子夫婦がいます。30年前、息子夫婦は双子の女の子の奈美さんと美香さんを授かりました。しかし、生まれてから、2人とも言葉を発すことがなく、3歳になった時に専門医に診てもらったところ、難聴であることが分かりました。
 和子さんが、そのことを教会の先生にお届けすると、「このことを信心で考えたらどうなるかな」と問われました。
 そこで、日頃の在り方を見直した和子さんは、「毎日お参りはしていたけれど、教会で聞いていた先生のお話やみ教えの内容を実際の生活の中で生かしていなかった」と思い、さらに「夫や家族のことよりも自分のことを中心に考えていたかもしれない」と感じたのです。そのこと自体は、孫のこととは関係ないことなのでしょうが、和子さんは自分の信心の問題と捉え、改まることができるよう、神様に祈るようになりました。

 難聴であることが分かった孫たちは、すぐにろう学校に入ったことで、手話で会話ができるようになりました。ろう学校の先生の勧めで、通常の小・中学校に通いましたが、勉強が難しくなり、友達との会話にも入っていけなかったことから、中学校に行くのを嫌がるようになり、姉妹2人だけの世界に入ってしまうようになりました。その頃の和子さんは、離れた孫たちのことを毎日神様に願いながら、「子や孫も信心をして助かってくれたら」という思いだったそうです。
 それでも2人は、さまざまな困難を乗り越えて、それぞれ別の大学に進学することができました。大学生になったのを機に、長女の奈美さんは、大学でノートを見せてくれる友人を探したり、他の聞こえない人のお世話をしたりと、とても積極的に人と関わる生き方をするようになりました。

聞こえないからこそ彼にも出会えた

 そんな奈美さんには、大学時代にすてきな男性との出会いがあり、「僕が君の耳になる」とプロポーズされ、結婚することになりました。
 奈美さんの結婚の話を聞き、和子さんは、神様にお礼を申し上げる中で、ふと「こうして今があるのは、神様のおかげだということを少しでも知ってもらいたい」という思いが湧いてきました。そこで、毎日、金光教のみ教えと一緒に和子さんの思いを添えたメールを家族に送り始めたところ、さまざまな反応が返ってきて、それぞれの思いが理解できるようになり、家族とのつながりが深まっていきました。

 ある日、和子さんがテレビを観ていると、脳に直接電気信号を送ることで難聴を克服できる技術が紹介されていました。
 朗報だと思った和子さんが、さっそく奈美さんに伝えたところ、「聞こえないから駄目とか、劣るとか、そんなことはないよ。聞こえないからこそ、今の彼にも出会えたんだ
し。聞こえない自分が大好きだよ」と、意外な返事が返ってきたのです。
 和子さんは、自分の考えの浅はかさを恥ずかしく思うとともに、日々喜びの心で生活している奈美さんのことを誇らしく感じました。そして、奈美さんの心の中には、和子さんのみ教えメールが生きているように思えてうれしくなりました。
 今、2人の孫は、教職を得て、ろう学校の教壇に立っています。また、妹の美香さんも良きパートナーと出会うことができました。おととし、2人とも健康な赤ちゃんを出産し、幸せな生活を送っています。
※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2020年7月19日号掲載
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2021/08/17 12:32:53.382 GMT+9



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