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神様への感動で生まれた漬物【金光新聞】

漬物の味は母親譲り

 「この漬物、すごくおいしいですね」。最近、私(79)の妻が漬けた漬物を、そう言って喜んでくださる方がいました。妻の漬物は、母親譲りの味です。
 70年ほど前、妻の母の実代さんは、夫婦で食料品店を営んでいました。当時、夫の真一さんが35歳で脳卒中を患い、右半身が不自由になったばかりでした。不安を抱える実代さんに、お店のお客さんが金光教の教会を紹介してくれたそうです。
 初めてお参りした時、教会の先生から、「天地金乃神は昔からある神である。途中からできた神ではない。信心はしなくてもおかげは授けてある」「金の杖をつけば曲がる。竹や木は折れる。神を杖につけば楽じゃ」という金光教の教祖様のみ教えを教えてもらい、人間を大切に思う神様の親心を知りました。
 幼い頃に両親を亡くし、真の親の愛情を知らなかった実代さんは、一生死なない親に巡り合えたと感じ、「私の信ずる神様は、この神様だ」と感激したそうです。

夫婦で支え合い参拝

 早速翌日から毎朝、真一さんの手を引いてお参りを始めました。回復を願う気持ちからだったのでしょうが、教会で先生からみ教えを聞くたび、実代さんは今まで知らなかった神様のお働きに感動する日々でした。商売柄、毎日出る売れ残りの食品は廃棄していましたが、神様による天地のお恵みの尊さを知ってからは、「神様に申し訳ない」と、残った食品は人に分け、仕入れの方法も改めました。
 さらに実代さんは、その感動を教えてくれた先生に喜んでもらいたい一心で、先生の好物だった漬物を漬け始めました。未経験のため失敗もありましたが、諦めずに続けるうち、多くの人から愛される漬物ができました。評判を聞きつけたデパートから、注文が入るほどだったそうです。
 だんだんと真一さんの容体は安定し始めましたが、今度は実代さんが、筋肉が萎縮する進行性の難病に侵されました。全身の筋力が低下し、呼吸も困難になる不治の病で、仕事にも生活にも、支障を来すようになりました。
 それでも実代さん夫婦は、お互いが支え合うようにしてお参りを続けました。教会に着くと、廊下の拭き掃除が習慣でしたが、病気で雑巾を絞る力のない実代さんは、水を含んだままの雑巾で掃除をしました。床は水浸しでしたが、先生や他の信者さんたちは、一生懸命な思いを感じてか、誰一人として口を出す人はいなかったそうです。

全快の体験談を人に

 そんなある日、実代さんは「神様に一心が通れば、どんな病気も治してくださる」という話を聞いて、「私も医者や薬に頼らず、神様におすがりさせて頂きます」と決心し、お取次を頂きました。病気を患い、できないことが増えていく中にあっても、神様と先生に喜んで頂きたいと願う心だけは、失いませんでした。
 その実代さんの心を、神様はお受け取りくださったのでしょう。驚くことに、日に日に回復し、それから3年余りで病気全快のおかげを頂いたのです。その後は、病気で難儀をしている人の話を聞けば、神様に助けられた体験を話し、元気づけていました。
 神様と人に喜んでもらえるようにと真心を尽くして、一心を貫いた実代さんの生き方は、気が付けば家族にも伝わり、3人の子どものうち1人が、さらに孫から5人、ひ孫から3人が金光教の教師となりました。
 そんな実代さんの、神様への感動から生まれた漬物は、今も家族に受け継がれ、喜びを与え続けています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

「心に届く信心真話」2021年12月26日号掲載

メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2022/12/26 10:00:52.737 GMT+9



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