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「お水は神様 」祖母の教え今も【金光新聞】

アトピーを心配して

私が小学6年生の夏休みに、田舎の祖父母の家で過ごしていた時のことです。その頃の私は、アトピー性皮膚炎が悪化していて、全身のかゆみに、毎日つらい思いをしていました。
 幼い時から良くなったり悪くなったりを繰り返していましたが、その時は塗り薬も効果がないほどひどい状態でした。あまりのかゆさに無意識にかいてしまうのですが、かけば傷になり、汗をかくとその傷に染みて痛がゆく、またかいてしまうという悪循環から、症状はさらに悪化していくのでした。
 そんな私を心配した祖母が、「汗をかいたらシャワーを浴びたらいいよ。お水は神様だから、お風呂に入る時は、神様の中に漬からせてもらうと思って入りなさいね」と教えてくれました。私は驚きながらも「そうかあ、お水は神様か」と、自然に納得ができました。

「金光様」 と唱え入浴

 私の育った家庭は、曽祖父母の代から金光教の信心をしています。小さい頃から、天地自然の恵みは神様のお働きだと教えられてきました。例えば、人間が生きる上で欠かせない、お日様の光や熱、水や作物などは、人間の力では生み出せません。
 全てが神様からのお恵みであり、ありがたく受け止めること、そして天地そのものが、神様のお体だとも教えてもらっていました。そのため、「お水が神様」という祖母の言葉も、自然に受け止められたのでしょう。
 ただ、そうは言っても、水やせっけんが傷に染みて痛くてたまりません。何度もお風呂に入るのは気が進みませんでしたが、祖母に言われたように、「金光様」と唱えながらシャワーを浴び、「このお湯は神様」と思って、お湯に漬かるようにしました。
 不思議なことに「金光様」と心の中で唱えながらシャワーを浴びると、痛みを我慢することができましたし、お湯に漬かると、まるで神様が体を包んでくれているように感じました。この時から入浴のたびに、「金光様」と心の中で唱えることが習慣になり、夏休みが終わる頃には、症状も治まっていました。そして、この夏休みを境に、私のアトピーは徐々に回復していったのでした。

祖母の願いが習慣に

 やがて、私は社会人になり、自分がアトピーだったことも忘れるほど、普通の生活を送っていました。ところが、親元を離れ、環境の変化からか、またアトピーの症状が再発したのでした。あまりひどくはならずに、しばらくしたら治りましたが、久しぶりのアトピーの症状に、一生懸命神様にお願いしていた、あの夏休みの記憶がよみがえりました。
 当時の症状からは、うそのようにきれいになった自分の肌を見ながら、「時間はかかったけれど、あの夏休みのお願いを神様は聞いてくださっていたんだ」と気付いたのです。そして神様に、治して頂いたお礼をしていないことに気付き、改めて神様に、お礼のお祈りをしました。さらに、「お水は神様」と日頃から思っていることや、今も入浴時に「金光様」と心の中で唱えている習慣は、祖母に教わったからだったと思い出しました。
 あの時、祖母が「お水は神様」と教えてくれたのは、アトピーが治るという願いもそうですが、お水のありがたさを分かり、神様に心を向けてほしいという願いもあったのでしょう。それは、大人になった今も習慣として残るほどに確かに伝わっていて、私はそれほどまでに願われていたのだと思いました。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

「心に届く信心真話」2022年4月13日号掲載

メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2023/05/05 07:00:00.833 GMT+9



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