title.jpg

HOME › 「真心(まごころ)の根っこ」育む教育を 【金光新聞】

「真心(まごころ)の根っこ」育む教育を 【金光新聞】

子どもたちの心を育てる取り組み

 広島県呉教会に併設するスカウトランドひまわり幼稚園は、園外、野外での体験・活動を積極的に取り入れた教育を行い、現在、100人を超える園児が通っている。
 子どもたちの健やかな成長を願う上で、幼児期に欠かせない、大切なこととは何だろうか。

 「タヌキ園長のおなか大きいね」と、3歳の園児たちが毎日のようにやってきます。そして、私のおなかを触りながら「この中、何がいるの?」と聞いてきます。その真っすぐな問いに、私は「もちろんタヌキの赤ちゃんだよ!」と、いつも真顔で答えます。すると「ふーん」と妙に納得して、砂場に遊びにいきました。
 しばらくするとまたやって来て、「いつ赤ちゃん生まれるの?」と尋ね、私が「まだまだだよ」と答えると、またまた「ふーん、まだまだか」と言って、お友達の遊びの輪へ、走っていきました。
 こうした何げない日々のやりとりは、園児たちと私の「心のキャッチボール」です。私にとって今月今日の「元気・勇気・笑顔」を、いっぱいもらえる、掛け替えのない幸せを感じる瞬間なのです。

 満3歳から5歳までの3年間で、園児たちの体は、平均的に身長で約25センチ、体重で約10キロ大きく成長します。
 そして、入園当初にはさみしくなったら「お母さんとこ帰る」と泣き続けていた子どもが、不思議と5歳にもなると夕方まで園庭で遊び、お母さんが、「おうちに帰るよ」と言うと、「先に帰っていいよ!」と遊び続けるようになります。とうとう堪忍袋の緒が切れたお母さんが「今日はタヌキ園長の家に泊まりなさい!」とよく叫んでいます。そのお母さんたちの言葉を聞くと、私は「みんな大きくなったなあ」と、また幸せな気分になるのです。
 しかし、子どもたちの「心の成長」は、体のように数値で測ることができません。では、いったいどんな時に分かるのでしょうか。

 私は幼児教育に携わるようになって28年になりますが、園児たちと毎日一緒に生活していると、例えば、困ったお友達をそっと助けてあげる瞬間や、泣いているお友達に何も言わず寄り添ってあげる姿から、子どもたちの心の成長が伝わってきます。
 そうした「思いやり」の姿に、たまたま私が遭遇した時、その子にニコッとピースサインを送ると、満面の笑顔が輝くので
す。言葉は要らないのです。大切なのは「共感の心」です。
 しかし、この「心の成長」は、決して一日で育つものではなく、また、言葉だけで教えて育つものでもありません。
 幼稚園でのお母さん役である担任の先生の真心、温かい見守りの中、クラスのお友達といっぱい遊んで、けんかして、泣いて、先生に怒られて、謝ってと
良いことも悪いことも毎日繰り返し経験しながら、3年の歳月をかけて成長していくのです。こうした幼児期の直接体験や失敗体験は、これからの人生を歩んでいく上で、掛け替えのない「人生の宝」となるはずです。

 四代金光様のお歌に、私の大好きな「育ちゆくもののお役に立つことを喜びとなしわれも育たん」というものがあります。園庭で目を輝かせて一心に遊んでいる園児の姿を毎日見ながら、子どもたち一人一人が、物質豊かな21世紀の中で、「真心の根っこ」を持って、神様から頂いた「命」を大切に育めるよう、今月今日、真っすぐに取り組んでいきたいと思います。

木村 幸雄(呉教会/スカウトランドひまわり幼稚園園長)
(「フラッシュナウ」金光新聞2014年2月16日号)

投稿日時:2014/02/26 14:18:49.809 GMT+9



このページの先頭へ