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親子真の成長は不易(ふえき)の願い【金光新聞】

子の成長は親の成長の歩み

 親は、初めから親であったわけではない。子ができて初めて親も生まれることになる。同様に、子の成長は親の成長の歩みでもあるはずだ。親子〝あいよかけよ〟の育ち合いは、時代を超えた不変の営みといえる。

 23年前の真夜中の出来事です。「息子が熱を出し、41度まで上がって息も絶え絶えで、苦しんでいます。先生、どうしたら…」。私はかかりつけの小児科の医師に、電話でそう訴えました。
 2歳半の息子が高熱にうなされる姿に、不安ばかりがどんどん募り、この後さらに熱が上がれば命が危ないという恐怖感に襲われた私は、無我夢中で受話器を手にしたのです。その電話の向こうで、医師は落ち着いた声で、「お父さん、息子さんは麻疹(はしか)です。今、息子さんは全身全霊で病気と戦っています。今晩が峠です。まず、親であるあなたがしっかりしてください」と言いました。
 私は、医師のその一言で我に返り、息子の手を取りながら、やっとおわびとお礼のご祈念をすることができました。やがて、朝日が差し始めるころには、苦しそうな息遣いも、熱も徐々に収まっていきました。
 これは、私に「親とは何か」を意識させた出来事でした。

 さて、幼稚園でも入園間もない園児が突然、「ひきつけ」や「けいれん」を起こすことがあります。
 ある日の朝のこと、在園のお母さんから、「園長先生、息子がピクリとも動かず、今、主人が付き添って救急車で病院へ搬送されています。私はどうしたらいいでしょう」と、取り乱した声で電話がありました。
 私は、「お母さん、まず深呼吸して、落ち着いて病院に行きましょう。私もすぐに向かいますから。大丈夫ですよ」と言って電話を置き、お広前でご祈念をして、病院に駆け付けました。
 ご両親は、ベッドの横にたたずみ、わが子の様子をぼうぜんと見詰めていました。私はご両親に、「手をしっかり握って、名前を呼んであげてください」と促しました。
 そうして20分ほどたったころ、意識がうっすら戻りました。その子は目を開けると周りを見渡し、ご両親の顔を見つけると笑顔になりました。「○○ちゃん、よかった!」と、お母さんの顔にも安堵(あんど)の表情が広がりました。
 ようやく我に返ったお母さんは私に、「気が動転して、何をどうしてよいか分からず、気が付いたら園長先生に電話していました。ありがとうございました」と言われ、後は言葉になりませんでした。
 その後、その子は3年間の幼稚園生活を元気に送り、卒園後は呉教会のボーイスカウトに入団しブラスバンドにも入隊しました。小学生となった現在、「小太鼓」を練習しています。

 四代金光様のお歌、「ちちははも子供とともに生まれたり育たねばならぬ子もちちははも」には、親子の〝あいよかけよ〟の育ち合いへの深い願いが掛けられていることを思うと、本当にありがたい気持ちになります。
 入園希望のお母さんから、最近よく尋ねられることは、「園は給食ですか」「幼稚園バスは家の前まで来てくれますか」「英語、体操、硬筆教室等はありますか」といったことです。
 今日の社会では、わが子の子育てを他人に委託し、また、近視眼的な「方法論」に頼る傾向が強くなっています。それだけに、「親子あいよかけよの心の育ち」は、不易(変わらないこと)であり続けなければと強く思いながら、親子の「真の成長」のために、さらにお役に立っていきたいと願う毎日です。

<木村 幸雄(呉教会/スカウトランドひまわり幼稚園園長)/b>
(「フラッシュナウ」金光新聞2014年7月27日号)

投稿日時:2014/07/30 09:29:40.715 GMT+9



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