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支え合い立ち行く相互関係【金光新聞】

ご縁と就活

 人は誰しも幸せを望み、より良い人生を築きたいと願って、人生の節目節目に重要な判断をしていく。その時、その人の価値観が自己決定に大きく影響する。本教信心に根差した価値観とは、どのようなものか考えてみたい。

 私が大学に奉職して20年近くがたち、娘も今や大学生になっている。 人生には、幾度か転機となる出来事が訪れる。学生にとっての就職活動も、その後の人生に大きな影響を与えるものだけに、まさに人生の転機となり得るものの一つであるだろう。
 「社会に出て働くことはつらいことばかりで、できれば考えたくない」と思う学生も、実は少なくない。その一方で、私は就職活動の前後で「大化け」した学生を何人か見てきた。

 就職は「縁」のものともいわれる。学生の側が、就職を希望する会社への熱意をどれだけ持っていても、会社側からそのチャンスを提供されなければ、縁は成り立たない。大学では、「あなたは何に向いているか」といった適正診断など、就活に関わるサポートにも努めてきているが、適正があるとの診断が出ても、ご縁が頂けなければ就活は成就しない。
 また、今日ではインターネットを活用することで、就職に関する多くの情報を入手することができるようになった。だが、そうした情報がいくらあっても、それだけでは大して役に立たない。大切なのは、その人がどんな価値観でそれらの情報を選択し、どういう価値基準で判断するかであるだろう。
 例えば、知名度の高い優良といわれる会社だから、あるいは給与が高いことなど、単に自分の都合や価値判断からの思いだけでは、必ずしも会社側の心を引きつける動機にはならない。自分にとって、その会社の何が魅力的で、仕事を通じてどのような貢献がしたいのかを考えることこそが大切で、就活を通して自分も会社も、さらには社会も幸せになれるビジョンを描いた り見いだしていくことが必要なのだと思う。

 私たちは一人で生きていくことはできない。全ての人は、誰かのお世話になり、また自分の存在が周りの人々に何らかの影響を与え合いながら生きている。お互いがお互いを必要とし、支え合うことで双方が立ち行く。そのような相互依存の関係性は、私たちの生きる根底となる普遍的な関係性といえるもので、そのことへの気付きが人生の奥行きをつくっていくことにもなると思う。
 金光教では、縁ある全ての人や物事を大切にする生き方を説いている。それは、「氏子あっての神、神あっての氏子」という神様と人間との間柄や、「ちちははも子供とともに生まれたり育たねばならぬ子もちちははも」という四代金光様のお歌としても現されている。

 就活に限らず、人生の中で不安を覚えたり、時に挫折を経験することもあるだろう。だが、そうした経験は人の苦しみへの共感や、支えに対する感謝の念を育み、一人の人間としてたくましく成長していく契機ともなり得る。さまざまな人や物事との出会いを神様のお計らいとして大切にし、人生を切り開いていこうとする思いが、その人を大きく成長させていく力になるであろう。

斎藤 文彦(龍谷大学国際文化学部教授)
(「フラッシュナウ」金光新聞2015年2月1日号)

投稿日時:2015/02/18 11:37:50.601 GMT+9



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