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寄り添い生まれる信頼関係【金光新聞】

神様のお働き頂いて仮設住宅を支援

 東日本大震災から5年が過ぎた今も、仮設住宅で暮らす人たちがいる。ご縁があり、及ばずながらも、そういう方々に支援を続けてきた経過を振り返る時、神様が用意してくださった一つ一つの事柄に導かれ、動かされながら、ここまで来たことをありがたく思う。

 今年3月6日、金光教東日本大震災五年祭が福島市で執り行われた。そのプログラムの中で、福島第1原発事故で避難を余儀なくされた川内村住民が住む、仮設住宅の自治会長である志田篤さん(67歳)が発表をしてくださった。

 福島県双葉郡川内村は平成24年1月31日、原発事故で被災したどの地域よりも早く帰村宣言をした。その後、賠償金の受給は平成24年8月で終了し、生活保障として平成25年3月に20万円が支給されたのを最後に一切が打ち切られた。仮設住宅に住む川内村住民は、高齢者や障害者など無収入の世帯が多く、次第に困窮することとなる。
 そこで平成25年12月、志田さんはインターネットを通じ、全国に物資の緊急支援を呼び掛けた。縁あって金光教本部にもその要請が届き、本部から私に実情を調べてほしいとの連絡が入った。
 早速、志田さんに連絡を取り、その仮設住宅に出向いた。仮設住宅の入り口には、「宗教勧誘お断り」の看板があり、これまで何か支援をしたいと思っても、二の足を踏んでいたのだ。
 宗教団体からの訪問に少し緊張したように見えた志田さんに、これまでのいきさつを話すとほっとした表情を見せてくれ、「すみませんね」と頭を下げられた。早速、何が必要かを尋ねると、緊急支援の要請に各方面から食料関係はほぼ集まっているので、厳しい寒さ対策に携帯用カイロが欲しいとのことだった。

 そのことを本部に報告し、協議の上、「金光教みちのくボランティア隊」を母体に継続的な支援活動を行うことになった。平成25年12月31日、教会の越年祭が終わった後、1箱に30枚入ったカイロを200箱分、仮設住宅に届けさせてもらった。
 その後、 平成26年3月には、金光教大阪災害救援隊が支援を行っている宮城県石巻市小渕浜にあるワカメ養殖業者から、ワカメ15キロを7箱買い入れ、支援物資として仮設住宅に届けた。それからも納豆、卵、牛乳などの食料品をはじめとする物資の支援に加え、歌と踊りを楽しむ会や、紅葉の時期にはバスを手配して小旅行を企画。同年と翌年の12月には、クリスマス用ショートケーキと手羽先、年越しそばなどを差し入れた。

 このように志田さんをはじめ仮設住宅の人たちに、その都度要望を伺いながら、今日まで支援活動を進めてきている。その間、私と志田さんとは、いろいろなことを話し合ってきた。公平に支援物資を配ることの難しさ、自立のめどが付かない将来に対する入居者の不安。そして、志田さんが抱える個人的な問題まで、ありとあらゆることを一緒に悩みながら聴いてきた。そのことを通して、私と志田さんとの間柄は少しずつ深くなり、信頼関係も生まれた。
 このように見返りを求めず、どこまでも相手の助かりを願う、金光教の支援の在り方に対して、志田さんは五年祭への出席を快く承諾してくれたのだと思っている。宗教団体とはできれば関わりたくないというのが本音かもしれない。でも、それを乗り越えさせるだけの神様のお働きがここに生まれてきたことを本当にありがたく思う。
 多くの団体が支援活動から手を引く中、金光教のボランティア隊は教祖様の「人が助かりさえすれば」とのみ心をもって、仮設住宅の人たちに寄り添い、最後の一人まで支援活動を続けたいと切願している。


橋長孝三郎(福島県岩代郡山教会長)
(「フラッシュナウ」金光新聞 2016年7月24日号掲載)

投稿日時:2016/07/25 11:16:44.720 GMT+9



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