title.jpg

HOME › 実在し続ける助かりの"場"【金光新聞】

実在し続ける助かりの"場"【金光新聞】

「霊地」を世界人類の「Reichi」に

 現代社会は、インターネットの普及や交通機関の発達により、人をはじめ、モノ、資本、情報などが、グローバルに時空を飛び越えて移動する世界を実現した。そういう時代にあって、金光教の教祖が神様と出会った「場所」として、決して移動しない場である「霊地」の意義を求めたい。

 おととしより、立教記念祭の前日から1泊2日の日程で、世界に散在する信奉者・求信者が霊地で一堂に会して、お道の根源に触れ、その意義や働きを感じることを願いとしてKonko International Gathering(コンコウ・インターナショナル・ギャザリング)が開催されている。これまで2回の開催では、北米、ハワイ、南米、韓国、オーストラリアからの参加者があった。
 集会プログラムは、本部広前や立教聖場、教祖奥城(おくつき)の巡拝やご祈念。境内洒掃(さいそう)、 門前町散策。そして金光様のお出ましお迎え、お退けお見送りをしたりと、霊地を体験・体感的に感じられる内容になっている。

 昨年参加したオーストラリアの女性は「立教聖場を目の当たりにし、この小さな空間からこのお道がスタートしたことに驚きを隠せなかった」と語り、北米から参加した女性教師は「立教聖場の洒掃中、そこに教祖様のお姿を垣間見た。そして教祖様のお考え、感情、日々の暮らしなどに思いを巡らせることができた」と語ってくれた。
 また、ブラジルから参加した教師子弟の女性は「両親の生き方の元がここにあったのかと思うと不思議な気持ちになる。私にこの素晴らしい信心を伝えてくれた両親に心から感謝したい」と涙ながらに語り、霊地で自身のアイデンティティーを確認しているように見えた。

 他の参加者の声も同様に、そこには驚きや発見など一人一人の実感が込められていた。霊地とは、ひとたび足を踏み入れればその身に特別な「何か」が呼び覚まされる場所なのだろう。
 先述したオーストラリアの女性は、悩みを抱えている時にインターネットで金光教と出合い、数年の時を経て、霊地までやって来た。彼女は 「霊地の霊妙な働きをこの身で感じました。また、お道の仲間と実際に出会ったことで、私の中で『何か』が明らかに変わりました」と話してくれた。
 彼女は帰国後、 自身と同じように苦しんでいる誰かにも 「金光教」 を伝えたいと願い、「金光教オーストラリア」 というホームページを開設した。

 現代は、インターネットの環境を整えさえすれば、世界中のどこからでも金光教の情報にアクセスでき、また世界中に情報を発信できるようになったと思われがちだ。
 しかし、インターネットで金光教の情報にアクセスするためには、オーストラリアの女性がそうであったように、「難儀から救われたい」「神様に出会いたい」という望みが不可欠になるだろう。
 同様に「このお道を誰かに伝えたい」という願いが生まれてこなければ、金光教の情報を世界に向けて発信することもかなわない。
 霊地は、私たち信奉者をはじめとする難儀を抱えた全ての人に開かれており、訪れる一人一人にこのお道に生きることの意味や願いを喚起させてくれる場所として、さまざまなものが移動する現代においても、その場を動くことなく実在し続けている。
 そんな「霊地」が私たち世界人類の「Reichi」 と呼ばれる日が来ることを、 私は強く願っている。

楠木 信浩(金光教国際センター)
(「フラッシュナウ」金光新聞2017年9月17日号掲載)

投稿日時:2017/09/19 11:30:53.484 GMT+9



このページの先頭へ